EMLF Interview
Rapunzel Electronics × Tsubasa Arakawa

Tsubasa Arakawa:
こんにちは。EMLF代表のTsubasa Arakawaと申します。
今回は、これまで僕のレーベルEMLFから数多くの作品をリリースしていただいている、Rapunzel Electronicsさんをご紹介します。
9月25日(金)にリリース予定のEPのミックスとマスタリングが無事に完了しました。かなり良い仕上がりになっています。
それでは早速、Rapunzel Electronicsさんにいろいろなお話を伺っていきたいと思います。
まずは、簡単に自己紹介をお願いできますか?
自己紹介
Rapunzel Electronics:
はい。もういい歳のおっさんなんですけど、自己紹介って何を言ったらいいのか分からなくて、けっこう難しいですね。
音楽を作っています。
「川崎音響サービス」というバンド名で知っている方もいるかもしれません。しばらくその名前で活動していたのですが、最近はバンドとしての活動をしていないので、ソロでは「Rapunzel Electronics」という名前でテクノを作っています。
鈴木と申します。よろしくお願いします。
Tsubasa Arakawa:
ありがとうございます。
では次に、アーティストとしてこれまでどのような活動をされてきたのか、お伺いしたいと思います。
これまでの活動について
Rapunzel Electronics:
いや、経歴と言えるほどのものは本当にないんですよ。
ライブも、コロナ禍の前に一回くらいやった程度だと思います。
Tsubasa Arakawa:
では、基本的には作品制作を中心に、長く活動されてきたという感じでしょうか?
Rapunzel Electronics:
そうですね。
ただ、あまりたくさん作っても、みんなが全部聴いてくれるわけではないので。
毎日のように出してしまったら、聴く側も大変でしょうし、たまに作るくらいがちょうどいいのかなと思っています。
Tsubasa Arakawa:
なるほど。活動の中心は、あくまで制作ということですね。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
ただ、ライブをやりたくないわけではないんですよ。場があれば行きます。
単純に、今のところあまり呼ばれていないというだけです。
Tsubasa Arakawa:
そこは今後、EMLFでもパーティーを開催したいと思っています。
EMLFのメンバーを中心にイベントができたら面白いと思っていますので、その際にはぜひRapunzel Electronicsさんにもライブをやっていただけたら、僕としてもうれしいです。
こちらも頑張りますので、ぜひよろしくお願いいたします。
Rapunzel Electronics:
お願いします。
目指しているサウンドについて
Tsubasa Arakawa:
次にお聞きしたいのですが、Rapunzel Electronicsさんは、どのようなサウンドや作品を目指して制作しているのでしょうか?
Rapunzel Electronics:
そうですね。
極端に言えば、リズムマシンが「ドンドン」と鳴っているだけで、自分としてはもう満足なんですよ。
ただ、それだけだと人に聴いてもらうには少し厳しいので、いろいろ音を足しています。
できることなら、ものすごく地味で、ほとんど展開のないものを、そのまま人に聴いてもらいたいですね。
Tsubasa Arakawa:
かなりミニマルな方向ですね。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
ただ、それだけではなかなか成立しないので、なんとか人に聴いてもらえる形にはしています。
自分が究極的に求めているものは、「お経」なんですよ。
Tsubasa Arakawa:
お経ですか。
Rapunzel Electronics:
はい。
お経があって、鐘が鳴ったり、木魚が鳴ったりする。
ああいう感じは、かなり理想に近いですね。
Tsubasa Arakawa:
なるほど。
つまり、本来であればリズムマシンの反復などを中心に、音楽を構築していきたいということでしょうか?
Rapunzel Electronics:
そうですね。
たぶんテクノを作っている人って、みんな似たようなところがあると思うんですよ。
最初に、
「じゃあ、頭から一発いってみよう」
と思って、
「ドン、ドン、ドン、ドン……」
と鳴らすじゃないですか。
それをやっていると、気づいたら深夜3時になっている。
それで、
「ちょっと展開させてみようかな」
と思って、
「ドン、チン、ドン、チン……」
とやっていると、今度は深夜4時半になっている。
でも、ずっと聴いていると、
「ここは少しずらしたほうがいいな」
とか、
「この音はこっちにしたほうがいいな」
とか、だんだん音が熟成されていくんですよね。
そこが楽しいです。
アシッドや「不自然な音」について
Tsubasa Arakawa:
Rapunzel Electronicsさんの作品を聴いていると、リズムが中心にありながら、アシッドなベースラインなども非常に印象的です。
本来の理想としては、もっと激しいハードテクノ的な方向なのでしょうか?
Rapunzel Electronics:
「お経がハードテクノなのか」と言われると、ちょっと微妙なんですけど、近い部分はあるかもしれません。
それとアシッドについて言えば、僕は「テクノって変な音が入っている音楽」だと思っているんですよ。
シンセサイザーの音って、少なくとも生楽器の音とは違いますよね。
もちろん、電気も自然界に存在していると言えば存在しているんですけど、クラシックなどで聴く生楽器の音とは明らかに違う。
そういう「不自然な音」を楽しむことが、テクノの根本的な要素の一つなんじゃないかと思っています。
Tsubasa Arakawa:
なるほど。
Rapunzel Electronics:
TB-303のようなベースマシンも、その「変な音」に到達しやすい機械の一つなんだと思います。
シンセサイザーで一小節、あるいは二拍くらいのフレーズを延々と繰り返す。
それ自体、よく考えるとかなり変ですよね。
でも、その変な音を繰り返していくと、ミニマルテクノになるんじゃないかなと思っています。
Tsubasa Arakawa:
お経も、ある意味では同じフレーズを反復していくものですからね。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
お経のリズムをキープするために鳴らしている鐘には、「寝るな」という意味もあるらしいですよ。
Tsubasa Arakawa:
では、クラブでも寝てはいけないと。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
ただ、僕自身は音が鳴っていると、逆に寝てしまうこともありますけどね。
影響を受けた作品・アーティスト
Tsubasa Arakawa:
次の質問です。
これまで最も影響を受けた作品やアーティストはありますか?
Rapunzel Electronics:
すぐには思いつかないですね。
何の話をしようかな……。
音楽とは少し離れるんですけど、『台風クラブ』という映画があって、それがめちゃくちゃ好きなんですよ。
劇中で、中学生がドアを開けたり閉めたりしながら、
「ただいま」
「おかえりなさい」
「ただいま」
「おかえりなさい」
と、自分で繰り返す場面があるんです。
素晴らしい映画なので、皆さんぜひ観てください。
Tsubasa Arakawa:
相米慎二監督の『台風クラブ』ですね。
今のお話だけだと、どういう映画なのか、なかなか想像しづらいですが。
Rapunzel Electronics:
ミニマルな映画なんですよ。
別に『ラン・ローラ・ラン』のような意味でのミニマルさではないんですけど。
台風が来て、中学生たちがだんだん狂っていくような映画です。
すごくいいんですよ。
世の中には、そういう破滅的なものが必要な瞬間もあると思うんです。
Tsubasa Arakawa:
破滅的なものですか。
Rapunzel Electronics:
カタストロフィ的なものを求めてしまう心って、あるじゃないですか。
それがテクノと直接関係あるのかと言われると、分からないんですけど。
ただ、『台風クラブ』は長回しがすごいんですよ。
ずっとワンカットでアクションを撮っている。
あれは、もしかしたらテクノかもしれませんね。
Tsubasa Arakawa:
では、その映画から人生的な影響をかなり受けたと。
Rapunzel Electronics:
人生には影響を受けていますね。
音楽への影響は、どうなのか分かりませんけど。
音楽的な影響について
Tsubasa Arakawa:
では、音楽に限定するとどうでしょう?
Rapunzel Electronics:
音楽だったら、たぶん皆さんと一緒だと思います。
僕はミニマルをやっているので、自分より先にミニマルをやっていた人は、みんな尊敬しています。
特定の誰か一人という感じではないですね。
みんな好きです。
「団地」というミニマル
Rapunzel Electronics:
あ、影響を受けたものという意味なら、「団地」は絶対に話そうと思っていました。
団地って、すごくいいんですよ。
集合住宅には窓が規則的に並んでいて、通路側にも規則的に灯りが並んでいて、一定の間隔で階段がある。
通路を歩きながら蛍光灯を一個ずつ見ていくじゃないですか。
今はLEDになっていますけど。
一個、二個、三個……と数えながら歩いて、次の階へ行ったら、また一個、二個、三個……と数えていく。
これって、かなりミニマルじゃないですか。
Tsubasa Arakawa:
確かにミニマルですね。
ただ、それをアーティストと呼んでいいのかは、少し難しいところですが。
Rapunzel Electronics:
アーティストではないですね。
でも、本当に団地が大好きなんですよ。
例えば、ずっと規則的に並んでいる蛍光灯のうち、一個だけ壊れて消えていたとする。
それが音楽で言えば、ブレイクなんですよ。
ずっと四つ打ちだったところで、一拍だけキックが抜ける。
その「一個だけ壊れている蛍光灯」が、キックを一発抜くことと同じなんです。
Tsubasa Arakawa:
なるほど。
自然界や建築物の中にも、ミニマル的な構造が存在しているということですね。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
それから、お経。
お経といっても、般若心経だったり「南無妙法蓮華経」だったり、宗派によっていろいろありますけど、ひっくるめて好きですね。
歌うように唱える宗派もあるじゃないですか。
そういうものも好きです。
使用機材について
Tsubasa Arakawa:
では次に、制作で使用している機材について伺います。
普段はどのような環境で作品を制作していますか?
Rapunzel Electronics:
まず基本的なところでは、パソコンですね。
MacintoshでAbleton Liveを使っています。
Ableton Liveを選んだ理由は、ループを扱いやすくて、ミニマルな音楽を作りやすかったこと。
それから、友達が使っていたので、分からないことを質問しやすかったというのもありますね。
Tsubasa Arakawa:
シンセサイザーやリズムマシンについてはいかがでしょう?
Rapunzel Electronics:
昔から「音の出るおもちゃ」が好きなんですよ。
高校生の頃からリズムマシンを買ったりしていました。
大人になっても、そういう「大人向けの音の出るおもちゃ」を買うのが好きで。
いわゆるガジェット系の機材もいろいろ買いました。
その中で、自分にとってかなり大きかったのがKORG monotribeですね。

KORG monotribeとアナログシンセ
Rapunzel Electronics:
当時は、アナログシンセが今ほど当たり前ではなかったんですよ。
もちろん、細々とは出ていましたけどね。
そこへKORGがmonotronという、小さくて「ピーッ」と音が鳴るようなおもちゃみたいなアナログシンセを出した。

そこから少しずつKORGがアナログシンセに力を入れていって、monotribeが出た。
そのときに、
「あ、もう一回機材を買わなきゃ」
と思ったんですよ。
そこから、またアナログシンセを買い始めました。
その後すぐにvolcaシリーズも出ましたしね。
volcaシリーズは皆さんご存じでしょうか。
非常に有名なシリーズなので、ぜひお手元に一台、あるいは何台か置いておいてほしいですね。
最も作品で使っている機材
Tsubasa Arakawa:
所有している機材の中で、特に思い入れがあるもの、あるいは実際の作品で頻繁に使っているものはありますか?
Rapunzel Electronics:
「思い入れはあるけれど使っていないもの」と、「そこまで思い入れはないけれど、ものすごく使っているもの」があります。
EMLFを聴いてくださっている方も多いと思うんですが、僕がEMLFからリリースしている作品のリズムは、ほとんどKORG volca sampleです。
あの小さなサンプラーでリズムを鳴らしています。

Tsubasa Arakawa:
そうだったんですね。
Rapunzel Electronics:
中古なら比較的手頃に手に入るので、皆さん何台か買ってみてもいいんじゃないでしょうか。
たくさん並べたら、それはそれで面白いと思います。
Tsubasa Arakawa:
そこまでいくと、かなり大規模なシステムになりそうですね。
Elektronの機材を導入するという選択肢もありそうです。
今後の活動について
Tsubasa Arakawa:
では、今後どのような活動をしていきたいですか?
Rapunzel Electronics:
活動したいですね。
これからも、きちんと活動していきたいと思っています。
Tsubasa Arakawa:
具体的には、どんな活動でしょう?
Rapunzel Electronics:
できるだけ自然に、自分の中から出てきたものを、そのまま曲として出していきたいですね。
あまり構え過ぎずに、作品を継続して作っていきたい。
それでいて、一曲一曲には何か引っかかるものがあればいいと思っています。
最初から、
「こういう作品を作ってやるぞ」
と決めて作るタイプではないんですよ。
もちろん、ものすごく計画して、時間をかけて作られた傑作もたくさんあると思います。
でも、自分はそういうタイプではない。
音楽理論にものすごく詳しいわけでもありません。
ただ夜中にリズムマシンを鳴らしている。
高校生の頃からずっとやっていることなんですけど、そこに変な音を乗せて、
「あ、これでできた」
と思える瞬間が楽しいんですよね。
自分が楽しんで作ったものを、みんなも「これ面白いね」と言ってくれたらうれしい。
そういう感じです。
「全員プレイヤーになってほしい」
Rapunzel Electronics:
それから、できれば全員にテクノのプレイヤーになってほしいんですよ。
Tsubasa Arakawa:
全員がプレイヤーに?
Rapunzel Electronics:
そうです。
例えば自動車産業って、ものすごく大きな産業じゃないですか。
楽器に関して言えば、ギターは、ものすごくたくさん売れている。
それと比べると、シンセサイザーやリズムマシンは、まだまだ少ないと思うんですよ。
だから、シンセサイザーやリズムマシンも、もっと売れてほしい。
電子楽器そのものが、もっと大きな産業になってほしいですね。
Tsubasa Arakawa:
音楽そのものというより、機材市場も含めて大きくなってほしいということですね。
Rapunzel Electronics:
そうです。
皆さん、ぜひ機材を買ってください。
機材が売れれば種類も増えますし、僕自身もうれしいです。
だから、いろいろなメーカーに電子楽器をもっと開発してほしいですね。
CASIOについて
Rapunzel Electronics:
CASIOも最近頑張っていますよね。
最近サンプラーも出したじゃないですか。
ぜひ皆さんに触ってみてほしいですね。
僕自身は、まだ詳しく触れていないんですけど。
Tsubasa Arakawa:
少し触りましたが、かなり面白かったですよ。
Rapunzel Electronics:
僕はCZやFZの時代のCASIOをリアルタイムではあまり詳しく知らないんですけど、今のCASIOには「あの頃の栄光をもう一度」というような雰囲気を感じるんですよ。だから皆さん、その気持ちも含めて、CASIOの電子楽器に注目してほしいですね。
Tsubasa Arakawa:
CASIOは最近かなり電子楽器に力を入れていますよね。
僕も今G-SHOCKを着けていますけど、CASIOって昔から面白い製品を作りますね。
Rapunzel Electronics:
CASIOって、テクノですよね。
Tsubasa Arakawa:
確かに、そういう雰囲気はありますね。
Casiotoneなども、電子音楽の中で普通に使われていますし。
Rapunzel Electronics:
そうですね。
CASIO、KORG、Rolandをはじめ、日本の電子楽器メーカーには、これからもどんどん新しいものを開発してほしいです。
そして、たくさんの人に使われてほしい。
もちろん、世界中の小さなガレージメーカーにも活躍してほしいですね。
MFBについて
Rapunzel Electronics:
機材の話で、もう一つしていいですか。
少し『サウンド&レコーディング・マガジン』的な話になるんですけど。
MFBというドイツのメーカーがあって、そこのリズムマシンが好きで、ずっと遊んでいたんですよ。
創業者の方が亡くなられて、現在は以前のような形では活動していないと思います。
息子さんが活動を継ぐという話もあったと思うんですが、その後のニュースは僕も追えていなくて。
すごくいいメーカーなので、MFBの機材を中古で見かけたら、ぜひ触ってみてほしいですね。
Tsubasa Arakawa:
MFBというと、Tanzbärなどを作っていたメーカーですよね。
Rapunzel Electronics:
そうです。
Tanzbär自体は持っていないんですけど。
僕が持っていたのは、808っぽい音がするものと、909っぽい音がするものですね。
Tsubasa Arakawa:
それらはご自身の作品にも使っていたんですか?
Rapunzel Electronics:
けっこう使っていましたね。
EMLFから出している作品では、もしかするとあまり使っていないかもしれません。
Quasimidi Polymorph
Tsubasa Arakawa:
今回、9月25日にリリースする作品では、珍しいシンセサイザーも使っているんですよね?
Rapunzel Electronics:
使っていますね。
メーカー名をど忘れしていたんですけど、Rave-O-Lution 309を出していたメーカー……。
Tsubasa Arakawa:
Quasimidiですね。
Rapunzel Electronics:
そう、Quasimidi。
Rave-O-Lution 309自体は壊れていて今は使っていないんですけど、同じQuasimidiのPolymorphという、かなり珍しいシンセを今回使っています。
たぶん作品の中で「ビヨビヨ」と鳴っている音が、それですね。
Tsubasa Arakawa:
かなり存在感のあるサイズのシンセですよね。
ElektronのAnalog Four MK2くらいの存在感がありますね。
Rapunzel Electronics:
それくらいですかね。
シーケンサーが付いていて、とにかく変なことができるんですよ。
変な音がする。
そして、その変な音をループできる。
だから、いい楽器なんです。
Tsubasa Arakawa:
非常にRapunzel Electronicsさんらしい評価ですね。
機材価格の高騰について
Rapunzel Electronics:
最近の問題は、とにかく楽器が高いことですね。
Tsubasa Arakawa:
高いですね。
円安や物価高など、いろいろな影響があると思います。
Rapunzel Electronics:
これは本当に良くないと思います。
若い人たちが楽器やコンピューターを買いづらくなっているのは、けっこう由々しき事態ですよね。
Tsubasa Arakawa:
創作環境へのハードルが上がっていますからね。
Rapunzel Electronics:
まあ、創作そのものなら、工夫次第で何かしらできますけどね。
極端な話、身近にあるものを叩くだけでもリズムにはなる。
もし僕が昔の時代にタイムスリップしたら、木や骨のような身近なものだけで音楽をやる人になりたいですね。
現在のクラブ/電子音楽シーンについて
Tsubasa Arakawa:
では次に、現在のクラブや電子音楽シーンについて、何か感じていることはありますか?
Rapunzel Electronics:
僕もおじさんになってしまったので、
「仲間に混ぜてください」
という感じですね。
実際にクラブへ行けば、自分と同年代の人や、自分より年上の人もいます。
ただ、年齢を重ねると友達が遊んでくれなくなるんですよ。
みんな子どもができたり、生活が変わったりするので。
そこは少し寂しいですね。
だから、みんなもっと遊びに出てきてほしいです。
1990年代から続くテクノ
Rapunzel Electronics:
僕は1990年代のテクノを実際に体感している世代なので、自分が今テクノをやっていること自体は、ごく自然なんですよ。
でも、よく考えると1990年代って、もう30年以上前なんですよね。
例えば1993年。
僕にとって1993年はかなり象徴的な年なんですけど、2026年から見ると33年前です。
1993年から33年前というと、1960年ですよ。
1990年代に、1960年代の音楽をそのままやっている若者って、今ほど多くなかったと思うんですよね。
だから2020年代になっても、若い人たちがテクノをやっているという事実が、僕にはすごく面白いんです。
「よく若い人たちがテクノを見つけて、ここまで来てくれるよな」
と思います。
Tsubasa Arakawa:
確かに、現在は若い世代のDJもかなり増えていますね。
DJへの入口が広がったこと
Tsubasa Arakawa:
これは僕の考えですが、DJを始めるための入口が大きく広がったことも関係していると思います。
昔はレコードが中心でした。
その後CDJが出て、さらにラップトップDJが登場した。
そして大きかったのが、Pioneer DJ、現在のAlphaThetaによるrekordboxとUSBを使ったDJシステムです。
現場に対応するCDJがあれば、「USBメモリー」を持っていくだけでプレイできる。
かなり手軽にDJを始められる環境が構築されたことで、入口は相当広がったと思います。
技術の進歩によって、クラブでプレイできる人そのものが増えた。
そこは非常に面白い変化だと思っています。
Rapunzel Electronics:
トラックメーカーにも若い人は多いんですか?
Tsubasa Arakawa:
トラックメーカーは、DJほど若い人が多い印象ではないですね。
やはり「曲を作る技術」と「DJの技術」は、必ずしも一致しません。
僕のようにDJもやる、作品も作る、ライブもする、という人は比較的少数派です。
DJを中心に活動する人と、トラック制作やライブを中心にする人で、ある程度分かれている印象があります。
若い人にも曲を作ってほしい
Rapunzel Electronics:
本当にみんな、iPadとGarageBandでもいいので、何か作ってほしいんですよ。
Tsubasa Arakawa:
つまり、日本の若い世代にも、もっと作品を世に出してほしいと?
Rapunzel Electronics:
そうですね。
「こんなのでいいのかな?」
と思うくらいのもののほうが、むしろ面白かったりするんですよ。
昔のことを知らないからできない、と考える必要もない。
「このジャンルにはこういうマナーがある」とか、厳しいことを言う人もいると思うんです。
でも、好きにやったらいいじゃないですか。
とにかくたくさん作っていけば、その中から面白いものが出てくると思うんです。
だから、完成度を気にしすぎず、まずはどんどん作品を作ってほしいですね。
Tsubasa Arakawa:
まず作品を作ること自体にチャレンジしてほしい、ということですね?
Rapunzel Electronics:
そうですね。
人間はループを求めている
Rapunzel Electronics:
あと、すごく根本的な話をしてもいいですか?
Tsubasa Arakawa:
もちろんです。
Rapunzel Electronics:
人間って、ループが好きだと思うんですよ。
Tsubasa Arakawa:
好みは人それぞれだとは思いますが。
Rapunzel Electronics:
いや、もっと生物的な意味で。
一日のリズムがあって、一年のリズムがある。
僕たちはずっと、いろいろな周期をループしながら生きている。
例えば、
「ドン、ドン、ドン」
と来たら、次の四拍目にも「ドン」が来ると思うじゃないですか。
それって、人間がループを期待しているということなんですよ。
でも、
「ドン、ドン、ドン……ツカッ」
と来たら、
「えっ?」
と思う。
その驚きが、例えば8小節目にフィルを入れることだったりする。
そういう「反復を期待する感覚」と「そこから少し外れる面白さ」は、テクノのものすごく根本的な部分だと思うんです。
そして、言葉を交わさなくても、違う国の人と共有できる。
だから、
「ループって楽しいですよ」
という話ですね。
Tsubasa Arakawa:
Rapunzel Electronicsさんの作品も、まさにループの中で少しずつ変化していくところがユニークだなと感じます。
Rapunzel Electronics:
そういうことは、他の音楽ではなかなかできないですからね。
EMLFで今後やりたいこと
Tsubasa Arakawa:
最後に、個人的に聞いてみたいことがあります。
EMLFというレーベル、あるいはEMLFというメディアを通して、今後やってみたいことはありますか?
Rapunzel Electronics:
では、いずれEMLFを僕のものにします。
Tsubasa Arakawa:
乗っ取るということでしょうか。
Rapunzel Electronics:
そうですね。乗っ取ります。
そしてTsubasa Arakawaを雇用します。
Tsubasa Arakawa:
僕が雇用される側になるんですね。
さらに厳しい立場に置かれそうですが。
Rapunzel Electronics:
そこはしっかり働いてもらいます。
Tsubasa Arakawa:
実現するかどうかは分かりませんが、ひとまずEMLFを一緒に盛り上げていただければうれしいです。
Rapunzel Electronics:
盛り上げていきましょう。
EMLFだけじゃなくて、音楽シーン全体を盛り上げていきたいですね。
Tsubasa Arakawa:
そうですね。
おわりに
Tsubasa Arakawa:
それでは、このあたりでRapunzel Electronicsさんへのインタビューを締めくくりたいと思います。
Rapunzel Electronicsさんの新しいEPは、9月25日にEMLFからリリース予定です。
今回の作品も非常に良い仕上がりになっていますので、ぜひ皆さんに聴いていただけたらうれしいです。
今後ともRapunzel Electronics、そしてEMLFへのご視聴・サポートを、何卒よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
Rapunzel Electronics:
ありがとうございました。
チャンネル登録も、もしチャンネルがありましたらよろしくお願いします。
Tsubasa Arakawa:
そのあたりも含めて、今後ともよろしくお願いいたします。